デッサン紹介・デッサンについて。
いかがお過ごしでしょうか。
今までお見せしていなかった私のデッサンをお見せ致します。
全て予備校で18歳の時に描いたものです。

ミケランジェロ作の「瀕死の奴隷」
という作品の石膏像です。
私は美術系予備校で一浪しましたが、
以前書いた通り工業高校出身のため、
高校では美術の時間が少なくて、
予備校でのスタート地点から既に他のみんなから遅れていました。
このデッサンは自分なりに遅れを取り戻そうと、
予備校の授業が終わったあとにアトリエに残り、
自主的に書いたデッサンです。
忙しくなってしまい、
未完成のままですが、
立体感や形、空間を描けていると思っています。
デッサンは形だけではなく、
対象物が置かれているその場の空間も描かないといけないのです。

こちらはモデルさんのデッサンです。
実はあまり気に入っていません。
モデルさんという数十キロもある物体が立っている、
ということを表現しようと、
重厚感や筋肉の動き、
重さを表現しようと、
足ばかりに力を入れすぎるあまり、
上半身の仕事量が少なくなってしまい、
上半身と下半身が別の人が描いたようになってしまいました。
あと、手の大きさも小さいです。
肩の筋肉や肩と首の位置関係もおかしいため、
手に持っているステンレスの棒がやたら重たいように見えてしまっています。
なぜこのような気に入っていないデッサンをお見せするかというと、
もっといいデッサンは私が美大に合格した際、
予備校から「後輩たちの参考作品として置かせて欲しいから売って欲しい」、
と言われ、「後輩たちのためになるなら」
と思い予備校に売ってしまったからです。
一枚3000円で買われました。

こちらもミケランジェロ作の「瀕死の奴隷」です。
まあまあ気に入っています。
私は誕生日が12月のため、
ここでお見せしたデッサンは全て18歳の時のものです。
デッサンとは物の見方です。
デッサンとは、美術全般の基礎であり、基本です。
ただ描けばいいというわけではありません。
まずは目の前にモデルさんなり石膏像なりの対象物が在る、
という現実を捉え、表現しなければいけません。
そのためには、
まずは物事の本質を捉える「目」が必要です。
「観察眼」「審美眼」「洞察力」と呼ばれるものです。
それらを身につけた上で、
初めて「表現」へとつながっていくのです。
デッサンが描ける、
ということは基礎ができているということと、
本質を見極める目を持っているということに他なりません。
物事には全て基礎が大事です。
何事も基礎があってこそ、応用や表現ができるのです。
美大の入試でデッサンの実技があるのは、
その「基礎ができているか」を見るためです。
ささやかな自慢ですが、
私は武蔵野美術大学に、
実技のデッサンを満点で合格しました。
私が彫刻から写真へと表現手段を変えた際に、
独学ながらもできるようになったのは、
予備校でたくさんデッサンを描いて、きっちりと基礎を身に染み込ませていたからだと思います。
基礎が出来ていれば何でもできます。
芸術とは、作者が作品を作って、その作品で語ってこそです。
全てはそこから始まるのです。
そのための基礎として、
デッサンやデッサン力は必要なのです。
もっと気に入っているデッサンをお見せできなくて申し訳ありません。
デッサンとは表現におけるすべての基礎であり基本です。
いつも支え応援して下さる皆様、
このブログをご覧頂いている皆様、
いつもいつもありがとうございます。
大変感謝しております。
これからもよろしくお願いいたします。
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